顧客育成(ナーチャリング)の基礎知識! 信頼関係を強化する施策とは?
近年、市場の成熟やテクノロジーの進歩などによって、顧客の消費スタイル・価値観に変化が見られており、それに伴い企業と消費者の接点が多様化しています。
また、商品の購入にあたってSNSや口コミサイトを利用して情報収集を行う消費行動も増えており、比較検討が容易になったことから検討期間も長くなっています。
そうしたなか、「見込み顧客が商品購入まで至らない」「リピートにつながらない」などの課題がある企業もあるのではないでしょうか。
安定した売上を獲得していくには、見込み顧客や既存顧客との長期的な接点を保ちながら、良好な関係性を築くことが必要です。そこで重要となるのが、“顧客育成(ナーチャリング)”です。
この記事では、顧客育成の基礎知識と具体的な施策について解説します。
目次[非表示]
- 1.顧客育成の3つのパターン
- 2.顧客育成に有効なコミュニケーション施策
- 2.1.①メールマーケティングの運用
- 2.2.②SNSでの情報発信
- 2.3.③DMの送付
- 3.DMを用いた顧客育成の事例
- 4.まとめ
顧客育成の3つのパターン
顧客育成とは、顧客と継続的なコミュニケーションを取り、商品の購入やリピーターにつなげるマーケティング手法のことです。購買プロセスのなかで、どの顧客層を育成するかによって3つのパターンに分けられます。
▼顧客育成の3つのパターン
顧客層 |
対象者の例 |
手法 |
見込み顧客 |
|
まだ購入に至っていない見込み顧客を、商品購入につなげて新規顧客へと育成する |
既存顧客 |
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すでに接点のある既存顧客をリピーター購入につなげて、優良顧客へと育成する |
優良顧客 |
|
自社への貢献度が高い優良顧客をさらに育成して、LTV(※1)が高い顧客やロイヤルカスタマー(※2)へと育成する |
市場が成熟した近年では、企業の市場競争も激しくなっており、新規顧客を新たに獲得する難易度や、獲得コストが高まっているといわれています。
また、WebサイトやSNS、口コミサイトなどで消費者が気軽に情報収集を行い、競合他社商品との比較検討ができるようになったことから、顧客接点も多様化・複雑化しています。
効率的に売上につなげるには、すでに企業や商品について知っている、または接点のある見込み顧客・既存顧客を育成して、リピートやLTVの向上につなげることが重要といえます。
なお、LTVを向上する4つのポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
※1…LTV(顧客生涯価値)とは、1人の顧客との取引を始めてから終了するまでに、企業にもたらす利益の総額のこと
※2…ロイヤルカスタマーとは、企業や商材に愛着・信頼を持つ顧客のこと。
顧客育成に有効なコミュニケーション施策
顧客育成を行うには、顧客との継続的なコミュニケーションを通して関係性を構築することが重要です。
なお、近年では消費者の購買行動がオンラインへとシフトしていますが、人と人との親近感を生むコミュニケーションを取れるオフラインの施策も有効です。
ここからは、顧客育成に有効なコミュニケーション施策について解説します。
①メールマーケティングの運用
メールマーケティングとは、メールを送付して顧客の関心や購買意欲を高める手法です。問い合わせや会員登録などで取得した顧客のメールアドレス宛てにメールを送信して、ECサイトへの誘導や店舗への来店などを促します。
送信リストに一斉送信するメルマガとは異なり、顧客の温度感や購買プロセスに応じて、有益かつ必要性の高い情報を届けることがポイントです。
段階的なアプローチによって関心・購買意欲を高めることで、見込み顧客の育成、既存顧客のリピート促進につなげられます。また、一定期間購入がない休眠顧客の掘り起こしも期待できます。
▼メールマーケティングを活用したメール送信の例
- ECサイトでの商品購入後にお礼メールを送信する
- 定期的に関連商品やキャンペーン案内の情報を届ける
- 休眠顧客に対して、お得な割引やクーポン情報を送る
②SNSでの情報発信
Twitter(※1)やInstagram(※2)などのSNSを活用して、商品の情報を発信したり、顧客と直接コミュニケーションを取ったりする方法も有効です。
SNSには拡散機能が備わっているため、企業や商品について知らない人との接点を創出しやすくなります。
また、見込み顧客や既存顧客にアカウントをフォローしてもらうと、有益な情報を継続的に発信するツールとして活用することも可能です。有益な情報を継続的に配信することで、関心喚起や購買意欲の醸成につなげられます。
ユーザーのフォローを促すためには、アカウントをフォローしてくれる人限定の特典をつけることがポイントです。例えば、プレゼント企画や初回割引クーポンなどが挙げられます。
▼SNSの活用例
- 期間限定の割引クーポンやキャンペーン情報を配信する
- 新商品や店舗限定商品の告知を行う
- スタッフによる商品の使用画像・動画を配信する
※1…TWITTER、TWEET(ツイート)、RETWEET(リツイート)、TwitterのロゴはTwitter, Inc.またはその関連会社の登録商標です。
※2…Instagramの商標およびロゴは、Meta Platforms, Inc.の登録商標または商標です。
③DMの送付
顧客育成に有効なコミュニケーション手法の一つに、DM(ダイレクトメール)の送付が挙げられます。メールやSNSとは異なり、直接顧客の自宅に送付するため、自然と目に触れやすく、閲覧・開封してもらいやすくなることが期待できます。
DMを活用して、見込み顧客に対して商品の購入や来店を促したり、既存顧客のリピートを促したりすることが可能です。また、パーソナライズ化した情報を継続的に届けると、親近感を覚えてもらいやすくなり、信頼関係の構築やファン化につなげられます。
▼DMの活用例
- 初回購入があった新規顧客にDMを送付して、関連商品や定期プランを進める
- 既存顧客に新商品やキャンペーン情報などの有益情報を定期的に届ける
- 動きがない休眠顧客に店舗やECサイトで使える割引クーポンを配布する
インターネット上では難しい、温かみのある1対1のコミュニケーションを取れることは、紙媒体ならではの魅力です。
なお、DMの反応率については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
DMを用いた顧客育成の事例
ここからは、コニカミノルタの共創プラットフォーム『AccurioDX』を活用された企業さまの事例をご紹介します。
クラウド型オープンイノベーション支援サービスを提供しているCreww株式会社さまでは、過去に接点があった顧客の掘り起こしを目的に、DMによる1to1のコミュニケーション施策を実施しました。
▼課題
リードを増やして、自社サービスの商談につなげながら顧客育成を図る必要がありました。しかし、十分な予算と、新たな顧客接点を獲得するための企画立案の余裕がなかったことから、効率的に顧客育成を行う必要がありました。
▼施策
顧客育成のための価値共創活動において、特定顧客層の掘り起こしに関する可能性を測るためのテストを実施しました。
パーソナライズ化した、1to1のDMを200名に送付
DMに個別QRコード(※)を添付して、送付後のアクションを分析
▼効果
テストの実施によって、DMの反応を得やすいアプローチのタイミングや、顧客にフックしやすいオファーの内容、業種業態を考慮した顧客ターゲットについて仮説を持つことができました。今後は、これらの仮説を活かして顧客育成に役立てたいとのことです。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
まとめ
この記事では、顧客育成について以下の内容を解説しました。
- 顧客育成の3つのパターン
- 顧客育成に有効なコミュニケーション施策
- DMを用いた顧客育成の事例
激しい市場競争や多様化・複雑化している顧客接点のなかで、安定した売上を獲得していくためには、リピート・LTV向上につなげるための顧客育成が重要となります。顧客育成によって購買意欲の向上や信頼の醸成を図るには、継続的なコミュニケーションを取り、良好な関係性を築くことが必要です。
『AccurioDX』では、DMやチラシなどのオフラインでのコミュニケーションによって顧客を育成する“1to1紙マーケティング”を一気通貫で支援いたします。コニカミノルタとの共創活動を通して、顧客育成とLTVの向上に貢献します。
サービスの詳細はこちらの資料をご覧ください。
なお、顧客育成のためには顧客接点の強化を図ることも必要です。詳しくは、こちらの記事で解説しています。