マーケティング戦略に不可欠なターゲティング! フレームワークを活用した設定方法
近年、消費者の購買スタイルが従来のモノ消費・コト消費から“トキ消費““イミ消費”などへと変わり、価値観に変化が見られています。また、SNSや口コミサイトでの情報収集によって商品の比較検討が容易になったことから、競合他社との市場競争も激しくなっています。
そのような環境のなかで自社商品を選んでもらうためには、どのような市場や顧客層に向けてマーケティング戦略を展開するのかを考えて、アプローチするターゲットの対象を絞り込むことが重要です。そこで必要となるのが、ターゲティングです。
企業のマーケティング担当者のなかには、改めてターゲティングを行い、新たな価値提供に向けた戦略立案や施策の見直しを行おうと考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ターゲティングの目的やフレームワークを活用した設定方法について解説します。
目次[非表示]
ターゲティングの目的
ターゲティングの目的は、自社商品・サービスを販売する市場を細分化して、ターゲットとなる顧客層を絞り込み、マーケティング戦略を立てることです。
ターゲティングを実施することで、特定の顧客層が持つニーズや価値観に訴求するための戦略を打ち出せるようになります。購買見込みのある顧客に向けてアプローチを実施できるため、マーケティング活動の効率化を図れます。
また、顧客が持つ課題・ニーズを想定して、より高い価値の提供に取り組むことで、満足度の向上やブランディングにつながることも期待できます。
なお、ターゲティングは、マーケティング戦略を考える際の基本となるSTP分析に含まれる要素の一つです。
▼STP分析
STP分析 |
目的 |
【S】セグメンテーション |
自社が関わる市場の細分化 |
【T】ターゲティング |
自社が狙う市場の決定 |
【P】ポジショニング |
市場における自社の立ち位置の明確化 |
フレームワークを活用したターゲティングの方法
ターゲティングを行う際に活用できるフレームワークに“6R”があります。6つの要素となる頭文字“R”を取って6Rと呼ばれています。
▼6R
要素 |
内容 |
|
1 |
有効な市場規模 |
自社の商品やサービスが売れる見込みがある市場かどうか |
2 |
成長性 |
成長する市場かどうか |
3 |
優先順位/波及効果 |
顧客の優先度が高いかどうか |
4 |
到達可能性 |
商品や広告が顧客に届きやすいかどうか |
5 |
競合状況 |
競合他社がいるか、また競合他社の数や質はどうか |
6 |
測定可能性 |
PDCAを回せる市場かどうか |
ここからは、各要素の詳しい内容とターゲティングを行うための分析方法について解説します。
①有効な市場規模(Realistic Scale)
自社商品・サービスを販売する対象となる市場規模を確認して、売れる見込みがあるか、コストに見合った利益を得られるかを検討します。政府や業界団体、調査会社などが発表している市場データに基づいて分析を行う必要があります。
分析した市場規模によって、自社商品・サービスの有効性を判断できます。
▼市場規模による有効性
市場規模 |
判断できること |
大きい |
|
小さい |
|
マーケティング施策を展開する際は、最低限の売上を確保しつつも、競争に巻き込まれにくい市場を見極めることが重要です。
②成長性(Rate of Growth)
対象となる市場における売上高やシェア、トレンドなどを分析して、今後の成長が期待できるかどうかを確認します。
成長段階にある市場、あるいは技術革新や需給構造の変化が見込まれる市場では、売上が伸びていくことが期待できます。
一方、すでに成長しきっている市場においては今後衰退していく可能性があるため、将来を見据えて見極めることが重要です。
③優先順位・波及効果(Rank/Ripple Effect)
自社商品・サービスの顧客層を踏まえて、ターゲティング対象となる市場の優先順位を分析・検討します。
また、商品が売れた際にどれくらい周囲への影響力を広げられるか、SNSや口コミ、メディアでの拡散による波及効果についても分析する必要があります。
顧客層が興味関心を持ってくれそうな商品・サービスを選ぶとともに、波及効果が期待できる市場を選択して、マーケティング施策を展開することが重要です。
④到達可能性(Reach)
自社商品・サービスを購入してもらうには、市場のターゲットとする顧客層に届けられるかどうかを確認して、顧客接点を確保することが重要です。
顧客層に対してどのような方法で商品・サービスを届けるか、販売チャネルや販促方法を検討する必要があります。例えば、以下のような顧客接点が考えられます。
▼顧客接点の例
項目 |
例 |
販売チャネル |
実店舗、ECサイト、SNS、オムニチャネル |
販促方法 |
広告運用、メディアでの情報発信、チラシの配布、イベントの実施 |
⑤競合状況(Rival)
対象とする市場に競合他社がいるかどうかを調査して、シェア獲得が見込める市場を選択します。
競合他社が多数存在するレッドオーシャンの場合、新規参入によるシェア獲得の難易度は高くなります。シェア獲得のためには、競合他社が少ないブルーオーシャンの市場を選択することが有効です。
自社の知名度や商品・サービスの強み・弱みを分析しつつ、「競合他社と差別化を図れるか」「市場における優位性を確保できるか」を検討することが重要です。
▼競合他社の状況を調査する際の項目
- 競合他社の数
- 商品・サービスのシェア率
- 売上・利益率
- 広告費・販売管理費用
- 販売ルート・営業方法 など
⑥測定可能性(Response)
ターゲットとする顧客層に対して行ったマーケティング施策の効果を測定して、改善につなげられるかを確認します。
ターゲティングに基づいてマーケティング施策を打ち出しても、その効果を測定できなければ、目標達成の程度を把握して改善につなげることは難しくなります。
改善につなげていくには、マーケティング施策の効果を測定して、定量的に評価できる体制を整えることが重要です。
▼効果測定の例
- Web広告からのECサイト流入で商品購入につながった数を測定する
- DM(ダイレクトメール)経由での問い合わせ数や来店数を測定する など
ターゲティングに基づいたマーケティング戦略のポイント
ターゲティングを行い、自社商品・サービスを売り出す市場や顧客層を絞り込んだあとは、ターゲットにどのように訴求するか、マーケティング戦略に落とし込むことが重要です。
そのためには、顧客目線に立ち「どのような課題・ニーズを持っているか」「購買行動のなかでどのような感情が生まれるか」などを考えて、具体的な訴求方法を検討することがポイントとなります。
顧客のニーズや心理を踏まえたうえで、一人ひとりに寄り添った施策を打ち出すことで、興味関心の喚起につながります。また、一人ひとりに合わせて情報提供や魅力の訴求を行うことで、顧客体験価値(CX)の向上も期待できます。
年齢や性別などの大まかな属性に分けた画一的なアプローチではなく、顧客一人ひとりに向けたOne to Oneマーケティングを取り入れることが有効です。
▼One to Oneマーケティングの施策例
- ECサイトの閲覧履歴に基づいておすすめ商品を表示する
- 商品配送時に関連商品に関するチラシを同梱する
- 会員登録した顧客に新商品やキャンペーンの情報をDMで送付する
- 顧客の購買プロセスに応じたステップメールを送信する
顧客体験価値を高める方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
まとめ
この記事では、マーケティング戦略におけるターゲティングについて、以下の内容を解説しました。
- ターゲティングの目的
- フレームワークを活用したターゲティングの方法
- ターゲティングに基づいたマーケティング戦略のポイント
市場競争のなかで自社商品を選んでもらうには、ターゲティングに基づいてマーケティング戦略を立てることが重要です。
6Rのフレームワークを活用することで、市場の有効性・成長性・競争優位性などを分析して、売上が期待できる商品・サービスや販売方法などを検討できるようになります。
また、ターゲティングを実施したあとは、顧客が持つニーズ・心理などを想定して、一人ひとりに寄り添った施策を打ち出すことも重要です。
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なお、マーケティング戦略の一種となるエコマーケティングやファンマーケティングについては、こちらの記事で解説しています。
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