ブランディングがもたらす効果と付加価値を創出するポイント
市場が成熟している近年では、商品・サービスそのものの価格や品質のみで競合他社との差別化を図ることが難しくなりつつあります。
このような事業環境のなかで安定した売上を確保していくには、商品・サービスに新たな付加価値を創出するための“ブランディング”に取り組むことが重要です。
企業のマーケティング担当者のなかには「ブランディングによってどのような効果が期待できるのか」「取り組みにあたってどのようなポイントを押さえておくとよいのか」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ブランディングがもたらす効果と付加価値を創出するポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.ブランディングがもたらす効果とは
- 1.1.①価格競争によるリスクの回避
- 1.2.②LTV(顧客生涯価値)の向上
- 1.3.③ロイヤルカスタマーの創出
- 2.ブランディングで付加価値を創出するポイント
- 3.社会的・感情的な付加価値を創出するための取り組み
- 3.1.エコマーケティングの実施
- 3.2.ファンマーケティングの実施
- 4.まとめ
ブランディングがもたらす効果とは
ブランディングは、企業の安定した事業運営や持続的な成長につなげるために欠かせない取り組みの一つです。企業にもたらす効果には、次の3つが挙げられます。
①価格競争によるリスクの回避
1つ目の効果は、価格競争によるリスクの回避です。
競合他社にはない商品・サービスの付加価値を創出して「この商品(ブランド)だから買いたい」と思ってもらえることで、価格を下げて差別化を図らずとも自社商品を選択してもらいやすくなります。
また、自社商品よりも価格が低い類似商品が登場した場合でも、ブランドが確立されていれば指名買いが行われやすいため、外部環境の変化による顧客離れを防ぐことが可能です。
②LTV(顧客生涯価値)の向上
2つ目の効果は、LTV(顧客生涯価値)の向上です。
LTVとは、企業が1人の顧客から得られる総利益のことです。ブランディングによって企業名やブランド名が広く認知されると、社会的な信頼が高まり、購買の意思決定を行う際に自社商品を選択してもらいやすくなります。
また、「〇〇の商品といえばこのブランド」というよいブランドイメージが定着すると、リピートや継続契約をする顧客が増えることも期待できます。その結果、LTVが向上して長期的かつ安定した売上の確保につながります。
③ロイヤルカスタマーの創出
3つ目の効果は、ロイヤルカスタマーの創出です。
ロイヤルカスタマーとは、売上の貢献度が高く企業・ブランドに対して強い信頼や愛着を抱いている顧客のことです。
ブランディングを通して、企業文化やブランドのコンセプトをアピールすると、顧客の共感が醸成されることが期待できます。
また、商品・サービスの購入や利用を通して信頼・感動・特別感などの体験価値を提供することによって、顧客ロイヤルティの向上につながります。
これにより、ブランドを長く愛して継続的に商品を購入してくれるロイヤルカスタマーを創出できることが期待できます。
ブランディングで付加価値を創出するポイント
ブランディングに取り組む際は、企業が顧客に提供できる3つの体験価値のうち、“社会的な価値”“感情的な価値”の2つに着目することがポイントです。
▼企業が顧客へ提供できる体験価値
体験価値 |
内容 |
具体例 |
機能的な価値 |
商品・サービスそのものや利用するときの価値 |
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社会的な価値 |
社会的な課題への貢献や共感に対して見出される価値 |
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感情的な価値 |
商品を利用する際に「嬉しい」「楽しい」「有意義だ」などの感情が生み出されることに対する価値 |
|
上記のうち、仕様や性能などの機能的な価値は、ほかの競合他社に模倣されてしまう可能性があります。テクノロジーの進歩によって商品のコモディティ化(汎用品化)が進む今では、仕様や性能などで差別化を図ることも難しくなっています。
また、従来では“モノを所有すること”を豊かさ・幸せとする“モノ消費”が一般的とされていました。しかし近年では、「周囲に合わせるのではなく自分が欲しいものを購入する」「社会的な課題に貢献することを重視する」といった“コト・トキ・イミ・エシカル消費”へと消費者の価値観にも変化が見られています。
ブランディングを通して競合他社との差別化を図り、ロイヤルカスタマーの育成につなげるには、社会的な価値と感情的な価値を創出することがカギとなります。
なお、ブランディングに取り組む際のポイントや具体的な手法については、こちらの記事をご確認ください。
※持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)のこと。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標を指す。
社会的・感情的な付加価値を創出するための取り組み
ブランディングによって社会的・感情的な付加価値を創出する取り組みがあります。例えば、エコマーケティングやファンマーケティングなどが代表的な施策です。
エコマーケティングの実施
エコマーケティングとは、地球環境保護への取り組みを通してブランド価値の向上につなげるマーケティング手法です。
近年、SDGsやエシカル消費などのキーワードが注目されており、環境保護に対する社会的な意識が高まっています。
企業が地球環境保護に積極的に取り組んだり、環境にやさしい商品・サービスを提供したりすることは、企業イメージの向上に結びつくと考えられます。また、「消費を通して社会に貢献をしたい」と考える顧客層からの共感や信頼を得やすくなることも期待できます。
▼エコマーケティングの実施例
- 商品の製造過程で排出されるCOsを削減する
- 商品の包装を最小限に削減する
- リサイクル材料を使用したエコ商品を取り扱う
なお、エコマーケティングのメリットや実施のポイントについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
ファンマーケティングの実施
ファンマーケティングとは、自社の商品・ブランドに愛着を持ってくれるファンを育成するマーケティング手法です。
ブランドのコンセプトや世界観を発信するだけでなく、顧客と双方向のコミュニケーションを取ったり、一人ひとりに合わせたアプローチを行ったりすることで、信頼関係が構築されてファン化につながると考えられます。
▼ファンマーケティングの実施例
- SNSでユーザーへの情報発信やアンケートを行い、消費者との接点を増やす
- オンラインでのライブ配信で新商品を魅力や活用術などを紹介する
- DM(ダイレクトメール)で限定キャンペーンの案内を送付する
コミカミノルタではファンマーケティングの一環として、顧客のニーズに合わせた内容のDMや梱包物の作成を行っております。詳しいサービス内容については、こちらをご覧ください。
なお、ファンマーケティングのメリットや取り組み事例は、こちらの記事で解説しています。
まとめ
この記事では、ブランディングについて以下の内容を解説しました。
- ブランディングがもたらす効果
- ブランディングで付加価値を創出するポイント
- 社会的・感情的な付加価値を創出するための取り組み
ブランディングを行うことで、価格競争によるリスクの回避やLTVの向上、ロイヤルカスタマーの創出といったさまざまな効果が期待できます。
自社商品・サービスの独自性を生み出して競争優位性を構築するには、エコマーケティングやファンマーケティングなどを通して、社会的・感情的な付加価値を創出することがポイントです。
『AccurioDX』では、チラシやDMなどの紙媒体を用いたマーケティング施策を一気通貫で支援しています。人と人との温かみのあるコミュニケーションを通して商品への信頼・愛着を醸成することによって、ファン化やLTVの向上を後押しします。
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