自然にあふれる某市のご担当者様からこのような相談をいただいた。
「私の所属している部署は市政の戦略を考えるため、様々な施策を打つ部署です。その中の一つとして、ふるさと納税のミッションがあります。全国的にふるさと納税の寄付額が伸びている中、私たちの市としては減少傾向にありました。ふるさと納税の寄付額を増やすための取り組みをしている中で、リピート率が低いと考えました。」
以前までは寄付いただいた方全員に対して、お礼はがきの送付を行い、寄付した方へのお礼を伝えつつ、寄付金の使用用途を通知していた。おすすめの返礼品をお礼はがきに載せるといった工夫もしていたという。
ふるさと納税の寄付額を増やすための取り組みはお礼はがきだけにとどまらず、新聞への広告掲載や、ふるさと納税サイトの検索上位に表示されるような施策も併せて実施することで、まだふるさと納税をしたことのない人へのPRも行っていた。この時の取り組みについてA氏に話を聞いた。
「2021年までは寄付額も多くあり、お礼はがきはリピート率を維持するための施策というより、実績の報告をするために送っていました。しかし、2022年、2023年は寄付額が下がってきてしまい危機感を感じていました。」
総務省によると2023年度のふるさと納税で、全国の自治体に寄付された総額は1兆1100億円余り、2023年1年間にふるさと納税を利用した人は1000万人と金額も納税者も過去最多となっている。この数字は、住民税を納めている6人に1人がふるさと納税を利用したことになる。
このようにふるさと納税が常識となりつつある中、寄付額が下がるということは自治体にとって痛手となっていることは想像に容易い。
そんな中でA氏はAccurioDXと出会ったという。
「このような状況を受け、とある企業から資料をもらって目を通したこともあるが一般的な内容が書かれており私としても知っている内容であったため、詳細なお話を聞きたいとは思えませんでした。そんな折、AccurioDXのパーソナライズDMを紹介していただきました。
市の内部にいると当たり前と思うようなことも、AccurioDXの担当者からは“ここはアピールポイントになる”とアドバイスをいただいたり、こういった写真を使うと印象が変わる、といった意見をもらえました。行政であるため、マーケティングを行った実績がなく知見が少ないため、何をしたらどのような結果が返ってくるのかといったノウハウがありません。そういった面でもご協力いただけたことは大きかったです。」
今回はAccurioDXのメンバーで多くの案件に関わってきた本谷とマーケティングに精通している白井の2名体制で案件を担当。
効果計測にはQR React Appを使用し、企画立案から効果測定、その後のプランニングまでを実施。紙に精通しているAccurioDXだからこそ、施策を実施しただけで終わらせない体制となっている。
寄付額を向上させるために今回実施したパーソナライズ施策は、2つだ。一つ目は、2023年に返礼品として市の名産物を選択してくださった方に向けて、1回の寄付で商品が月を分けて2種類届くという「2回定期便」をレコメンドするお礼はがきだ。2回定期便は単品で商品を購入するよりも価格は高いが、ふるさと納税を忘れている方ならば多少値段が上がったとしても手続きの手間も軽減でき、以前の美味しさを感じていただけた方になら響くのではないかと考えた。
2つめの施策は、2023年に6回定期便を返礼品として選んだ方に向け、今年も6回定期便をおすすめするお礼はがきだ。6回定期便は寄付額10万円を超える高額商品となる。市としても高額納税者の離脱防止は防ぎたいと考え、ターゲットとした。
本施策を実施した結果についてA氏はこう語る。
「ふるさと納税は前年の所得によってふるさと納税できる限度額が決まってくるため、単品購入からの2回定期便へのアップセルは困難であろうと考えていました。ですが、10月末時点で2回定期便を注文してくれたユーザーのうち、お礼はがきを送付した方の割合は9.5%となっており、効果をきちんと果たしてくれました。
さらに、6回定期便の施策に関しては24%の方が再度6回定期便を注文していただき、全員に同じメッセージを送っていた昨年と比較するとリピート率の効果が2.6倍に上がっています。」
さいごに今後の展望についてA氏に聞いた。
「今回は試験的に件数を絞ってそこからどんなターゲットが良いかを考えていきましたが、次は、件数を絞るのではなくて、定期便を注文してくれたユーザーや寄付金額が10万円以上のユーザーにする、といったようにターゲット起点で考えることでさらなる効果を期待しています。総務省からは返礼品を強調する広告は禁止されています。私としても寄付者の方には市の魅力を感じてもらって、この市だからふるさと納税で寄付したいと思っていただけるような施策を展開していきたいと考えています。」