岡崎さん:
送付先の属性情報(洋菓子店か和菓子店か、購入(検討)実績があるかなど)に応じて文面を変更することのできる『パーソナライズDM』を送付することにより、今まで購入または購入の検討をされたことがある方にはサマールージュを思い出してもらい、そうでない方にはサマールージュを知ってもらう機会とすることで、取引に繋げることを目標としました。また、送付したDMにどれほどの宣伝効果があったのかを確かめるべく『効果測定サービス』も活用しました。
島さん:
DMオモテ面のメッセージでは「読み手」を意識した文面表現にこだわりました。原案ではキャッチコピーを『サンプル提供開始しました』としていたのですが、DMを読んだ方が問い合わせをしたくなるようなものにしなければならないと考え、『今年の初摘み試してみませんか?』という表現(画像参照)に変更しました。
岡崎さん:
その他にも、親しみと興味を持って見てもらえるよう、生産者である軽井沢いちご工房のメンバー顔写真を掲載したり、手書き風フォントを用いたり、サマールージュを実際に使用したスイーツの写真を掲載したり…。洋菓子店と和菓子店ではつくるお菓子が全く違うので、送付先に合わせて文面を変えるなど、様々な工夫をしています。
これらが功を奏したようで、DMに掲載しているQRコードの読み取り率は、送付数に対して5%あれば良いと言われているところ、18%という高い結果を出すことができました。また、反応率としては23%となっており、サマールージュを初めて知った方からの反応が多く、QRコードを読み取るだけでなく、直接連絡をくださるといった嬉しい反響もありました!
片桐さん:
初めてDMを目にした時は、どこか手作り感がある親しみやすさと、情報が細かく丁寧に伝えられたチラシだなと感じましたね。生産者さんのお顔や農園の様子まで掲載されており、他の販促物に埋もれてしまうことなく印象に残りました。まさか、その後奥村組さんからお電話が来るとは思ってもみませんでしたが(笑)
(DMのQRコードを読み取った履歴を確認できたため、奥村組から電話連絡を行った)
片桐さん:
そうです。夏秋期のいちご不足は、私たちスイーツ屋にとって解決したいけどどうしようもない課題なんですよ。
例えばリュニックでは、夏が旬のフルーツ「桃」や「マスカット」のショートケーキを扱っているのですが、お客様から『「いちご」のケーキは今日ないんですか?』と尋ねられることが多いんです。ショートケーキ=いちごの構図が浸透していますね。
しかし、夏秋いちごは流通量が少なく、私たちは果物屋さんから卸された品を使う以外に手段がない。箱を開封するまで、どんないちごなのか分からないんです。特に外国産のものは値が張るにもかかわらず、圧倒的に甘みが足りずケーキには乗せられないなんてことも…。そのため、リュニックでは夏にいちごを使用したスイーツを扱うことは諦めてしまっていました。しかし、サマールージュは、契約前に実際に自分の目で見て食べて品質を確認できたので、ありがたかったですね。
上井さん:
2023年10月末に開催された『MINATO Accelerator』という港区に集積するクリエイティブ領域(ファッションや3D、AI等)のスタートアップを対象としたイベントで、コニカミノルタさんによるAccurioDXについての講演を聞いて「これは面白い!」と思ったことがきっかけでした。
このイベントに参加されている会社と是非とも何か一緒に取り組みたいと考えていたので、講演終了後すぐにコニカミノルタさんの元へ直行しました(笑)
上井さん:
一番面白いと感じたのは、紙媒体のチラシやDMにQRコードを付与し、そのQRコードへのアクセス数を集計することで宣伝の効果を定量的に測る「効果測定サービス」ですね。紙のチラシやDMと聞くと配布エリアに対して均一に投函されるポスティング手法をイメージし、送付後の宣伝効果が見えづらいと思っていたので、効果を見える化できることに魅力を感じました。
上井さん:
コニカミノルタさんとお話を進めるなかで、当社の新規事業の事業会社として小諸倉庫株式会社と共に設立した「株式会社軽井沢いちご工房」との共創が出来るのではと考えました。この会社では「サマールージュ」という夏秋いちご(夏秋期に収穫・出荷するいちごの総称)の栽培から販売までを一気通貫で手掛けています。
しかし、当社の本業は建設業であり、洋菓子店や和菓子店向けの販路開拓に課題がありました。これまでは、ケーキ屋さんなどに飛び込み営業をしていたのですが、突然の訪問だとなかなか話を聞いてもらえませんでした。このほか、Instagramを活用したSNSマーケティングにも取り組んでいますが、一定の効果は感じられるものの、アクセス数やフォロワー数が伸び悩んでおり、この状況をどうにか打開したいと考えていました。
島さん:
サマールージュはいちご農家に生産を委託しているのではなく、当社と小諸倉庫さん、そして農場のスタッフ達で一から育て上げているものです。いちごの栽培をしながら営業活動をしているので、効率的、効果的にできているとは言えませんでした。
そのような中、コニカミノルタさんとの共創は、こだわりを持って栽培したサマールージュの美味しさをもっと多くのお客様に知ってもらうために適した取り組みだと感じました。
島さん:
いちごは幅広い世代から好まれていますが、夏秋期には国産いちごの流通量が少なくなるため、「高品質な夏秋いちごを販売できれば需要があるのではないか?」と考えました。
また、農業を通して地方を盛り上げていくことも目標の一つです。お客様から「甘くて美味しい!」とのコメントをいただくことにやりがいを感じています。
片桐さん:
赤く、完熟した夏秋いちごを収穫して発送していただけるので、香りや味わいが良く、とても高品質です。今回の繋がりのおかげで、夏場でも美味しい苺のケーキを、お客様に提供することが出来ると思います。また、これからどんなお菓子が作れるか、ワクワクしています。
上井さん:
今回の共創活動は非常に価値のあるものだったと思います。DM送付から数か月経過した今でも、QRコードの読み取りがあり、お客様から『あの時もらったDMに載っていたいちごなんだけど…』とお問い合わせをいただくこともあります。紙媒体のDMが読み手の記憶に残りやすいことを実感しました!
島さん:
自分たちの手で栽培したいちごにたくさんの注文が入ることはやっぱり嬉しいものです。DMのおかげで繋がりを持てたお客様から、電話やInstagramを通じて「良いいちごだね!」というお声をたくさんいただけるようになったことが本活動における1番の収穫です!!
岡崎さん:
コニカミノルタさんのサービスを活用することで、事前に興味を持ってくれていると分かっているお客様とお話出来るので、効率的な営業活動が可能となりました。お客様にサマールージュの価値を感じてもらったうえでご購入いただけています。
編集後記:
まず、奥村組さんのいちごが本当においしくて、、
サマールージュの収穫時期が夏秋期というのもあり、昨年末から時間をかけて企画検討をしてきました。
DMのデザイン検討を始めたタイミングで、DMを届けるお客様一人一人をイメージしながらどのようなメッセージがいいか、ひざを突き合わせて対話を進めました。一緒になってDMに想いを込めていった
印象的なシーンです。
レイアウトやフォントまでこだわったDMデザインでしっかりと効果が得られたので、自慢できる事例になりました。上井さん、声をかけてくれてありがとうございました!
引き続きよろしくお願いします。