抱えていた課題 |
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共創への期待 |
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共創後の効果 |
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佐藤 功さま:
淡路島の洲本市の自治体イベントにてコニカミノルタさんの担当者と接点がありました。デジタル印刷を活用してオリジナルラベルのワインなどが作れることを紹介していただき、簡単にできるならテストしてみたいと考えました。
川端 亮さま:
大阪大学人間科学研究科では、企業や自治体などと連携するIMPACTオープンプロジェクトを26件つくって、社会共創活動に力を入れています。私たちのプロジェクト「緒方らぼ」は、2018年の西日本豪雨で酒蔵が被災し失われた銘酒「緒方洪庵」を復活し、被災地西予市野村町の復興まちづくりを進めてきました。
コロナによる制限も解除され、卒業式で大阪大学公式グッズ「緒方洪庵」を販売できることになり、阪大生の保護者の皆様にも「緒方らぼ」を知っていただき、支援の輪をさらに広げることができないかを考えていたところでした。そのため、コニカミノルタさんの価値共創活動におおいに共鳴し、連携することにしました。
佐藤 功さま:
これまでのラベルもデジタル印刷を用いて印刷をしていましたが、一つ一つラベルの内容を変えることが簡単にできることを知りませんでした。ラベルデザインを制作した大阪大学クリエイティブユニット、印刷を担当している株式会社カンサイさんと相談したうえで、オリジナルラベルの制作を開始しました。関係者で相談しながら、卒業生のお名前や所属学部などを掲載するレイアウトを決定しました。
川端 亮さま:
この取り組みには私たちと一緒に復興活動に関わってくれている学生も主体的に動いてくれました。お客様の情報入力フォームの作成や、印刷データを作成するためのリストの整理など、コニカミノルタさんと実務的に行動できたことは、学生にとってもいい経験になったと感じています。
オリジナルラベルのデータ作成からラベル印刷まではスムーズに完了しました。その後、緒方洪庵の製造をお願いしている酒蔵さんでラベルの貼り付けと梱包・発送作業を行っていただきましたが、ラベルにナンバーを付与していたことで間違いなく作業を進めることができました。
川端 亮さま:
当初、生協で学生向けに申し込みを受け付けることを考えていましたが時期的に間に合わず、不安なまま当日を迎えましたが、親御さんにターゲットを定めたことが奏功しました。お子様の在学・卒業の記念として多くの方が購入してくださいました。大学としても、「緒方洪庵」というお酒のこと、西予市野村町の復興支援をしていることを、多くの方に知ってもらう機会になってよかったと考えています。
佐藤 功さま:
場所の利用代などに多額の経費が掛かることもあり、通常よりも高い価格設定にしていたのですが、お客様(親御さん)はしっかりと受け入れてくださり、卒業生にとって一生一度の卒業式の記念をオリジナルラベルで表現することが価値になると実感することができました。
後日、購入者とお話する機会があったのですが、「息子の努力の結果として名前入りの日本酒をすごく楽しみにしていた、これはなかなか飲めないよ。」という嬉しい言葉をいただくこともできました。あらかじめ設定していた販売目標20本も、それを大幅に超え、最終的に52本販売することができました。
佐藤 功さま:
何かの記念にオリジナルラベル日本酒を購入したいというニーズがあることが分かったので、卒業式以外にも各種イベントなどで販売をしていきたいと思います。早速ですが、2024年5月3日に野村町で開催された朝霧湖マラソンで「完走タイム」を印刷した記念ボトルを販売しました。
来年度は今年十分にできなかった事前の販促活動をしっかりやりたいと考えています。ぜひ、デジタル印刷を活用した取り組みをしてみたいですね。
共創をはじめる段階では「何でコニカミノルタさんがこんなことを言ってきているのか」と正直言って“うさん臭さ”を感じました(笑)が、対話を重ねるにつれて新たな発想が芽生え、この取り組みにつながりました。コニカミノルタさんにとって、ビジネスではなく社会貢献としての取り組みだろうと思っていましたが、収支としても黒字にもっていくことができ、しっかりとビジネスとして成立することを示すことができてよかったです。
また、卒業式当日にコニカミノルタの営業さんがお手伝いに来てくれて売上にも貢献してくれました。どうもありがとうございました。
編集後記:
緒方洪庵というお酒の持つ価値と味を広めたい、新たなことにチャレンジしたい、という佐藤さまの想いから本取り組みにつながったと考えています。営業目的で参加したわけではない洲本市のイベントでしたが、佐藤さまにオリジナルラベルに興味を持っていただき、印刷会社様や酒蔵様、学生や大学生協まで巻き込んでいただいたことで実行につながったと感じており大変感謝しています。
また、学生さんが印刷データ作成のためのリストのチェックをしてくれたのでとても助かりましたし、一緒に取り組めてうれしかったです。
はじめはうさん臭い(!)と思われていたようですが、対話を重ねていくことで信頼関係を作っていけたと思っています。
普段のAccurioDXの取り組みとは一風変わったデジタル印刷活用事例になりましたが、しっかりと紙の持つ力を示すことができてうれしく思っています。
引き続きよろしくお願いいたします。